儲けたら、恩を返しなさい
■儲けたら、恩を返しなさい 「法句経」の十七番と十八番にこんな教えがあります。 十七番 あしきを作す者は いまにくるしみ のちにくるしみ ふたつながらにしてくるしむ 「あしきをわれなせり」とかく思ひてくるしむ かくして なやましき行路(みち)を歩めば、いよいよ心くるしむなり 十八番 善きことを作す者は いまによろこび のちによろこぶ ふたつながらによろこぶ 「善きことをわれはなせり」 かく思ひでよろこぶ かくして幸ある行路(みち)を歩めば、いよいよこころたのしむなり (友松圓諦訳) 本当に説明するまでもない簡単な教えです。悪いことはするな、いいことをしなさい、という意味です。 これは日本人の一番基本的な教えでです。儲けるばかりが能じゃないというわけです。 経営者の方は儲けなければどうしょうもありませんが、儲けばかりではどうしょうもない。 商売をすることによって、大勢の人との付き合いが始まるわけですね。ですから、その経営している間にいいことをたくさんすれば、それによって大勢の人とのいい関係ができるわけです。 やがて、それが自分の会社、経営をどんどん大きく広くしていく起動力になると思います。 私はこれに付け加えて、「いいことしなさいねそして恩を返しなさい」と言いたい。 「恩」という字は、原因の因という字の下に、心という字が書いてあります。これは、どうして自分がこうなったかをよく考えなさいということです。 もう少し言えば、儲かったら儲かった分を、人を助けるとか、いいことする方向に向けなさい、と言うことです。優れた経営者はこれを自然にやっていると思います。